起業家に関する説明

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⒈起業家とは

起業家は新規に事業を起こした人を示す経営用語です。

創業者という呼び方をする場合もあります。

経験やノウハウなどを持たない状態で、ゼロから会社を設立する場合もありますが、在籍している会社が新しい分野に進出する際に、その責任者として会社を設立する場合もあります。

ただしこうした形で起業した場合は起業家は呼ばれることは稀です。

起業と聞くと極めてハードルの高い行為のように感じますが、単純に新しく事業を起こすだけであれば難易度はさほど高くありません。

たとえば屋台で物を売ったり、何でも屋として高齢者の手伝いをするといった行為も立派な起業です。

しかし事業を継続的に成長させることは極めて難しく、起業した人間の多くは10年以内に会社を倒産させてしまっているのが実情です。

 

⒉起業家を目指す2つの理由

そんなリスクがありながらもなぜ多くの人が創業者になることを目指すのか、それには大きく2つの理由があります。

1つは現代社会において最も一般的な労働体系である、企業から雇用されて働くというライフスタイルが、あまりメリットのあるものではないからです。

労働者は経営者の指示に従って労働力を提供しますが、自分たちの労働の結果として企業が大きく成長を遂げたとしてもそれに見合った報酬は与えられません。

その一方で会社が業績不振などに陥った際にはリストラされ、路頭に迷うことになってしまいます。

終身雇用が一般的であった数十年前の日本であれば、雇われ労働者であることはローリスクローリターンな選択でしたが、非正規労働者はもちろんのこと、正社員であっても将来が保証されない環境では、サラリーマンはハイリスクローリターンな選択であり、同じハイリスクならば、ハイリターンが得られる可能性がある起業を選択する人が増えているのです。

起業によって得られるハイリターンとは何か、それが2つ目の理由となる創業した起業が成功した際に得られる莫大な報酬です。

これは主に株式上場という形で実現されます。

起業当初の株式というものは、大抵の場合は安価なものですが事業が成功し上場すれば、価値が数百倍まで高騰することも珍しくありません。

 

⒊起業家として成功した人たち

現代の日本で最も成功した創業者といえば、ソフトバンクグループを率いる孫正義ですが、彼は資本金1億円で事業をスタートさせ、会社を成長させていくことで2兆円を超える個人資産を築き上げたことで知られています。

ここまで大きな成功を収める人は稀ですが、ITバブルや不動産バブルなどその時々の時代の波に乗ることで、20代や30代のうちに一生働かずに生きていけるほどの資産を手にした人は珍しくありません。

楽天の三木谷浩史などはITバブル時代の勝ち組として有名です。

これが雇用者であれば日本を代表するような一流企業の社長にまでのぼりつめたとしても、年収は1億円を超えるかどうかなので、創業が成功した際のリターンがいかに大きなものであるかが分かります。

 

⒋日本は世界に比べて起業する人が少ない

日本は雇用の流動化、不安定化によって改善の傾向が見られるとはいえ、世界の他の国々に比べて起業する人が少ない国です。

これは高度経済成長期に「世界で最も成功した社会主義国家」と言われるほどに、一億総中流化が成功してしまったために、リスクを避けることが賢い生き方であるという考えが、広く浸透してしまったせいです。

しかし時代の変化に応じて新しい会社を設立する人が生まれなければ、社会は活力を失い経済は停滞してしまいます。

そのため日本政府も会社法を改正するなどして、起業しやすい環境整備に取り組みはじめました。

また大学においても起業を支援するための講座を開講するところが増えており、その成果が期待されています。

しかしいかに起業に成功した際のメリットが大きく、また社会が起業する人間を望んでいるからといって、誰もが起業家を目指すべきという訳ではありません。

スポーツにも向き不向きがあるように、起業にもまた適性や資質が求められます。

 

⒌起業家に向いている人とは

まず第一に自分の頭で考え、工夫することが好きでなければ会社を経営することはできません。

経営には地道な努力も求められますが、競合企業との競争に勝って成功を収めるには他の会社が手をつけいないことに挑戦したり、まったく新しいアイディアを実現することが重要になってくるからです。

また社員の誰よりも率先して働くバイタリティーも不可欠です。

上記で紹介した孫正義は天才的な才覚によって翻訳機をシャープに売り込むなどして、銀行から1億円の融資を受けるなど順調なスタートを切りましたが、これは極めて例外的な話で起業家の半数以上は家族や友人に頭を下げて、事業資金を調達しています。

当然ながら事業を運営していくのに十分な余力というものは存在せず、少しでも油断すれば会社はあっという間に潰れてしまいます。

少なくとも事業が軌道に乗るまでは、他のことには目もくれず一心不乱に働く覚悟を持たなければ、起業家として成功することは困難といえるでしょう。